優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

ウェイター•ウェイトレスが料理をさげるタイミングをどう見てる?

人に直接的、間接的に接触する仕事を「接客業」とするならば、多くの仕事がそうである。

また、毎回のごとく述べている様に、接客サービスはいかにお客様を満足させるかという「しかけ」よりも、いかに細かいところでの「失態をゼロ」にするかという事を、心がけて行く事の方が重要である。

何故ならどんなに素晴らしいおもてなしを受けていても、たった一つのミス(客が不快に思った瞬間)が、その時の全てを台無しにしてしまうし、そのミスが小さい事であっても客の心に残っていれば、次の小さなミスで爆発してしまうからである。

もっと言えばどんなに些細なことでも客は我慢はしないし、また我慢をさせてはならない。

今回も些細なことの一つで、女性からかなりよくあがる話、『レストランで食事をさげるタイミング』。

通常レストランでの食事で最も多いのは、男性と女性の2人でのテーブルである。
もちろん、女性と女性、家族、女性と男性の複数によるテーブルもあるわけだが、最も多い男女1対1の場合においてこの『食事をさげるタイミング』について、大きく差が生じる。

同時に料理を出された場合、ほとんどの場合男性の方が早く食べ終わるだろう。
しかも最近は良い悪いは別にして、料理を食べる前に携帯カメラで撮影してから食べ始める。

これでおそらく5〜10分程の料理の食べ終わる時間に差が出る。(もっと差が出る場合もあるだろう)

すると、まだ少し残っている状態で
「こちらお下げしても宜しいですか?」
と聞いてくる。

これがアウトです。

これを言われると、まだ食べたくても
「あ、まだ食べます。」
…と言いにくい!

はっきりと言えば良いと思うが、ウェイター•ウェイトレスが「あなたもう食べないでしょ」と判断したものに対して、「まだ最後まで食べる」と言ったら、卑しいんじゃないかと思われそうで、つい「どうぞ」と言ってしまう。

だから後で
「まだ残ってたのにな。」
「もうちょっと食べたかったのにな。」
とかと言う言葉を、聞いた事がある人もいれば、言った事がある人もいると思う。

じゃあウェイター•ウェイトレスはどこで判断すれば良いのかと言うと、それは
『残っている料理の量の時間的変化』
『ナイフ•フォークの握る時間の変化』
『座り方の変化』
この3つを判断基準にするのが有効的である。

まず、およそ次の料理へ移行するタイミングの少し前に、男性と女性の食べる時間の差があるテーブルの遅い人の量をチェックする。
そして、実際に下げたいと思った時に見て、料理の量がほとんど変化していなければ、声をかける1つの判断基準となる。

また、最初にチェックした際にナイフ•フォークを握っているかどうか、次に行ったときに握っているかどうかもチェックして、2回とも握らず置いていれば先の基準とプラスして判断する事が出来る。

そして、もう一つは座り方がテーブルから離れ背もたれ側に行っていれば、これまた1つの判断基準になるだろう。

この様にある程度の基準を持って、客に気持ち良くメインディッシュ~デザートまで辿り着かせてあげる気遣いが、ウェイター•ウェイトレスには必要である。