優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

大手飲食チェーン(吉野家•松屋•すき家•マクドナルド…)の過剰な価格競争は、日本の経済を消費者のレベルから悪化させ続ける。

接客などの直接的なお店におけるサービスや商品のような流動的なものを「ソフト」とするなら、店舗や商圏(立地)は「ハード」と考える事が出来るだろう。

「ハード」はオープン時に決めたらば、そこから短期的に大きく変化することはまずない。

大抵は「ソフト」の変化で客にインパクトを与えて、集客に繋げて売り上げを上げて行く。

今回は「接客サービス」ではなく、「ソフト」の一部である『商品の価格』について、一つ講じてみようと思う。

最近の大手飲食チェーン店や電気店に見られるのが、価格競争で値下げ値下げで集客しようと血眼になっている。
ヤマダ電機ビックカメラヨドバシカメラ?どこかは忘れたが(もしくは全ての電気店か?)「他店の方が安いチラシを持って来たら、値下げします!」などとうたっている。

昔は秋葉原に行けば、「石丸電気」「サトー無線」「オノデン」と行った有名店や無数に立ち並ぶ個人店で、どこに入っても同じ新製品の値段は変わらない!と言うのが定説であった。

厳密に言うと交渉による最低価格がどの店舗も一緒であった。

だから、A店で値下げして、B店にその値段を持って行ってさらに値下げして、その値段をC店に持って行って「うちも同じ」と言われたら、D店に行っても、E店に行っても同じで2店舗連続で同じ価格を言われたらそれが最低価格とすぐにわかった。

今は『ポイント還元』など複雑化して、一概に価格交渉だけをしても総合的にあまり得をしない場合もある。

だが、電化製品はそんなに頻繁に買い換える物ではなく、また高額なものも多く、さらに同じメーカーの同じ製品はどこの電気店でも「同じ」ものであるため、消費者心理からしたら当然安いものを(ポイント還元で得な方と言う場合もある)買いたくなるのは当然である。

しかしながら、飲食チェーン店は少し違う。
それぞれの会社で作り出した「味」なわけで、限りなく似ていても非なるものであり、そもそも違うものに対して例えば同じ「牛丼」だからと言って価格競争に乗っかって行くのはどうかと思う。

私の周りの人達に聞いても、「牛丼が500円以下なら、200円でも300円でも同じ気がする」と答えている。
また、ハンバーガーも「80円でなくても100円でも買う」と言っている。

正直誰がここまで安くしてくれと頼んだのだろうか?
もともと人は食欲と言う生理現象は止められないし、何かを食べる時に「何を食べようかな?」がまず先に来て、その次に経済的な話になって来る。

ハンバーガーを安いから食べに行こう~と言う人はあまり聞いた事がなく、軽~くハンバーガー食べに行ったらたまたま安くて「ラッキー」ぐらいなものであろう。

私の知人のフードコンサルタントの方は、「日本経済は【食べる】と言う、飲食業界の景気が良くならなければ、回復は見込めないだろう。」と言っているくらい、飲食店の経済復興は重要な鍵となって来る。

電気業界は安くしても商品が高いので、多く売れれば多くのお金が動くが、飲食業界ではそうは行かない。
しかし、逆に単価が安い分消費者はお金を出しやすい。

すなわち、飲食店が過剰なまでのな価格競争をすればするほど、日本の経済の悪化に繋がるため「望まれていない異常なプライスダウン」はやめるべきで、それよりも本来の「ソフト」である商品の魅力を向上すべきだろう。