優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

お店・会社・病院の受付は来訪者の「ペース」を乱さず誘導してあげなさい。

仕事をする際にどんな事をすれば人は喜ぶだろうか?と考える。

これを考えるという事はイベントの企画と一緒のため、初めのアピールになるわけである。

要するにお店、会社、はたまた病院などが人に認知されるために、自分の所のスペシャリティを付けるのである。

 

しかし、これは一見さんを獲得するための手段であり、商品であるため、人の良し悪しで客が来ている訳ではなく、誰がやっても・誰が売っても同じである。

「接客」というのは、人が喜ぶ事をするのではなく、人はどんな時に嫌がるだろうかと考え、それをさせない・感じさせない配慮のほうが重要である。

 

何故なら、良い噂と言うのはあまり広がらないが、悪い噂は真偽を問わずすぐ広がるのと同じで、100の客の喜ぶ事をしても1の不快に感じる事があれば、客は必ずそちらの悪いイメージの方が強く残ってしまう。

「あそこの○○のサービスは良かったんだけど、●●だけがちょっとなぁ~」と人が言っているのを聞いた事はあるだろう。

もしくは自分でも言った事があると思う。

 

ここでポイントが「●●だけが気に入らない」という事。

結局どんなに良い企画や良い商品を売っていても、たった一つの事でそこへ再び足を運ぶ事を失くしてしまう原因となってしまう。

 

今回はそんな人の嫌がる些細な事から、具体的にどんな行為が良くないのかを述べたい。

 

人は自分のペースを乱されると不快感を覚える。

例えば、道を歩いていて目の前に物が置いてあり避けなければならない時や、気持ちよくリズムに乗って歩いている時に、目の前の歩行者信号が赤に変わってしまった時。

さほど腹を立てるような問題ではないが、「物が置いてあるより、置いてない方が良い」と思うだろうし、「目の前の信号が赤より青であった方が良い」と多くの人が思うのではないだろうか?

 

その様に人が主観的に考えた時に「ペースが狂ってしまう」様な出来事が、客がお店や会社を訪れた時や、患者が病院へ来院した時に『受付』で起きている。

 

特に病院などでは顕著に見られる(患者が感じる?)事が多いという。

初めて病院へ行き受付に行くと、

「えっ?」て顔をされ

患者が

「あの~初めてなんですけど…」

「あっはい…どうされました?」

誰しも経験があるのでないだろうか?

何故向こうから挨拶を投げかけて来ないのか?

 

もしくは受付に行くと、「人がいない」!?

 

さらには、受付に行ってもこちらの気配を感じ取っているにも関わらず、下を向いたまま事務処理をしている。

 

病院は普通のお店などと違い、皆出来れば行きたくない場所である。

それゆえ患者はテンションも低いため、可能な限り受け身(受動的)でいたい訳である。

そのつもりで行ったところが、この様にこちらからアプローチをしなければならない状態(能動的)だと、まさしく「ペースが狂ってしまう」事になる。

 

この受付でこちらが受動的な気持ちで行っているのを、能動的にならなければいけないという状態は、病院だけではなく、お店や会社でも同様である。

 

お店や会社であれば「客を待たせやがって!」と憤慨する人も出て来るであろう。

 

この様にスタートの時点でマイナスになってしまうと、後からいくら挽回しようと思っても非常に難しい。

そのため、受付での対応はその会社、お店、病院の顔であると理解し、訪れた人の「ペース」を乱さぬように誘導してあげなければならない。