優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

老舗の「継ぎ足しのタレ」美味しさと安全性のアピールが重要。

これはあまり触れられてはいないが、多くの人が思っている事。

それは『継ぎ足しのタレ』って、大丈夫?

 

よくテレビなどで老舗の焼き鳥店、うなぎ屋さんなどで、

「創業以来継ぎ足しのタレ!」

「100年間継ぎ足しのタレ!」

とかと言って、コメンテーター達が「おぉ~旨そう!」などと言っている。

 

しかし、少なからずこれを見て「汚くない?」と思っている人はいるはずだ。

 

ある人いわく(やや潔癖症の人だが)「あの頃の汗やつばや虫などが紛れ込んでやしないか?」

確かにそうだが、それを言ったらラーメン屋さんもそうなるし、フレンチもイタリアンも和食もそうなる。

 

要するに長い年月が経っているという事が、そういった人達の心に引っ掛かっているのだ。

そこで調べてみると、まず鶏肉やうなぎなど熱で焼かれたものをタレにつけるため、その瞬間低温殺菌の様な状態になるそうだ。

さらには、タレの入ったつぼなどの容器を小まめに洗うために、その都度タレを濾してその際にタレを加熱処理して殺菌をするらしい。

すなわち、継ぎ足して行くという発想を持った時点で、その様な安全性というのは常に管理して行かなければならないという、最低限の考えは客であるこちらが考える前にまず考えている。

そして、100年経っていてこれまで安全に食せていると言うのであれば、それが証明になるという事である。(一か月ほどで新しいタレに入れ替わって行くらしく、100年前のものはさすがに残っていない)

 

この様にそういった衛生への不安を持つ潜在的な客に対し、味はとても美味しいのに、インフォメーション不足で「うちは継ぎ足しでやってますからね!」だけをアピールしていては勿体ない。

無論上記の様な衛生管理を行っていない場合は論外であるが、食の安全性が叫ばれる昨今、「継ぎ足し」と「安全性」をセットでアピールして行かなければならない。

そして、それは100年続いた歴史をこれから100年続かせていくために重要な事ではないかと考える。

 

「そんな客はいらねえよ!」などと言われるかもしれないが、ITの発達したこの世の中思考の情報も出回るのは一瞬、これは新たな客を獲得する好機である。