優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

接客において挨拶の「タイミング」を意識したことがあるだろうか?

「接客サービス」において、いや「人」として当たり前の様にしなければならないのが、『あいさつ』である。

日常生活において会社の上司への挨拶、部活の先輩への挨拶、学校の先生への挨拶、はたまた就職活動の面接の挨拶など、挨拶をする場面は非常に多く、また、それぞれの挨拶のルールがある。

しかし、これらの挨拶は全て「接客」における第三者への挨拶ではなく、上司・先輩・先生などの「うちわの人間」へのものであり、たくさん挨拶しているようで実は一種類の挨拶しかしていない。

そのため、接客応対のように人によって多種多様に変化するものとは、区別して考えなければならない。
実際に、「昔は部活でそつなくこなしてた」って人が、いざ接客してみると全く出来ないと言うことがとても多い。

それはある一つの組織の中でそつなくこなすのは、ある程度「コツ」さえ掴んで、そこでのある一定の地位(大した地位ではないが)さえ築くことさえできれば、それ以上に考える必要もなく過ごせて行けるからである。

しかし、「接客」と言うのはその人が今まで所属したことのある組織内で出会った人の、何倍、何十倍、何百倍もの人と出会うため、常に頭をリフレッシュしながら新しい出会いに対応して行かなければならない。

そして、その人にあった『あいさつ』を工夫していくものである。

だが挨拶にも接客における『鉄板』はある。

いつも通りの細かい話ではあるが、今回は挨拶の『タイミング』を挙げてみる。

具体例を設定しないと想像がつきにくいので、コンビニの「ありがとうございました!」を例に述べてみる。

お会計後の「ありがとうございました。」にも、言うべきベストなタイミングがある。
お会計が終わった直後に品物を手渡す、もしくは客が品物を取った瞬間に「ありがとうございました。」である。
それは、その品物の取り引きがそこで終えましたという、区切りの合図でもあるので必ずそこのタイミングを外してはならない。

これがワンテンポ早いだけで、「適当に挨拶してるな」と感じられやすい。
しかし、ワンテンポ遅れると「雑音」にしか聞こえない。(客はほとんど聞いてない)

すなわち、挨拶は一瞬のタイミングをも逃してはならないのである。
気合いで挨拶を上司・先輩には出来て、実際にお金を支払って頂く「お客様」に出来ないと言うのはおかしな話である。
要は一瞬のタイミングを押さえることが、接客においてカギになると言うことである。

これは、アルバイトの学生であろうがいずれ独立してお店を持ったりするのであれば、意識的にやらなければならないことであろう。

そして、もう一つの「ありがとうございました!」のタイミングテクニックがある。
それは、お店を出る瞬間の「ありがとうございました。」である。

お会計をして、お店を出るまでは少しの間が空く。
気にしない人もいるが、出る瞬間に「ありがとうございました」の声かけを心のどこかで待っている人も実は多いらしい。

恐らく分析するにお店を出る際に、掛け声で後押ししてもらう感じになっているらしい。
また、それがあることによってそのお店に対しての印象が変わると言う人もいた。

これらの事から、どんな職業においても「ありがとうございました。」には、二つのタイミングが存在すると言うことが分かり(言い方ではなく)、それを押さえて言うことがお店の印象づけに少なからず有効であると言える。