優れた日本のおもてなしは、小うるさい日本人の客が望んだ事である。

日本の接客サービス、いわゆる『おもてなし』は世界的に素晴らしいと言われている。しかしながら、日本人は日常的に接客に感動する事は滅多にない。日本では昔から「人の良し悪し」でその店を語り、再び足を運ぶための動機としている。昨今のビジネスシーンにおいてはマニュアル人間を育て過ぎて、「人の良し悪し」が語られる様な会社や店作りをしていないため、商品・商圏は良くても多くのリピーターを逃している状況が見受けられる。ここでは、客が離れる日常的な瞬間を切り取って紹介します。

タクシーの様な店舗型でない商売でもリピーターを獲得すべし。

接客や応対について、かなりよく聞くのが「タクシー」である。

タクシー業界は規制緩和により台数の飽和状態が起こり、さらにこの不況の折で乗客が減少しとてもシビアな業界の一つに数えられている。

平成22年の業種の年収調査によれば、タクシー運転手の平均年収は278万円、もちろん稼げる人は年収1000万円以上行くらしいのだが、基本的にはめちゃくちゃ稼げるといったイメージはないであろう。

しかしながら、高額年収を稼げる人とそうでない人の差はなんであろうか?

タクシーの運転手に対するクレームの多くはやはり「接客」と「運転」であろう。

どちらも、他の職業からしても「客対応」と「実務」と考えれば同じであるが、おそらく高収入を得られる人たちはどんな職種においても、その両方をしっかりとこなしている。

決して「職人気質」を出してはいけない。

タクシーはお店の様な場所が固定された商売ではないので、お店で言うところの「リピーターを獲得する」という考えがない。

ひょっとしたら会社自体にはその様な考えがあるかもしれないが、実際に実務に携わる運転手にはその感覚があるかどうか?

 

沖縄や京都のような観光地では、客が行く場所や行く日にちが決まっているため、一日ガイドや場所から場所までの移動を前もって予約を入れる事があるため、たまたま流しで乗ったタクシーの運転手が名刺を差し出して来て「ここに電話下さい。」とか「ガイドしますよ!」などと、かなり商売っ気たっぷりに話しかけて来る。

これがタクシー会社的に良いのか悪いのかはさておき、このように声掛けして来る人達は必ずと言って良い程愛想が良く、話の内容も客を飽きさせないようにしているのがわかる。(もともとおしゃべりな人かもしれないが…。)

おそらく、流しだからリピーターが付かないのではなく、流しでもリピーターを作る努力が必要である。

「またこの運転手さんに送ってもらいたい」客が思えば、仮にその運転手が空いていなくても良いイメージのある同じ会社のタクシーを選ぶ確率は必然的に高くなるであろう。

 

商売においてリピーターの獲得というのは肝である。

そして、店舗型ではない商売でもリピーターを獲得する方法はいくらでもある。

それを会社、運転手の双方で思案して、会社が宣伝して運転手が実際に行うことで離れていく乗客の囲い込みと新たなタクシーの乗客の獲得に繋がっていくであろう。